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いけばな随想
diary

有限世界 240210

2024/2/10

時間はずっと未来へ続く。空間は宇宙の果てまで続く。無限の時間と空間が、我々を取り巻いている。これは、科学的根拠に基づくものではなく、私の感覚的な印象だった。

「だった」と言うからには、今はそう思ってはいない。来世を具体的にイメージできない以上、私の人生の時間はいずれプッツリと途切れて終わる。また、月世界旅行を夢見た少年だった私は、もうそれを夢見ていないから、私の空間世界は地球上に限られて、水深3メートル、標高2000メートルくらいの範囲に収まることを自覚した。

資本主義のグローバリズムもやっと限界を自覚したようで、有限空間においてなぜ成長発展を当然のことと言い張ってこられたのか不思議でしょうがない。時間にしても、個体においては有限だし、株式会社にしても今や誰も無限に続くなどとは思っていない。

いけばなは、「切りを付ける」トレーニングに向いている。花材購入にも季節的・産地的制限があって、いけ終わった途端に枯れ始める。時間は留まってくれない。法人だったとしても、どんなにあがいたところで、人と同じように死ぬときは死ぬ。

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