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いけばな随想
diary

有難味 240110

2024/1/14

世の中が物々交換で成り立っていた時代には、儲けるためには「わらしべ長者」作戦が必要だった。その「わらしべ長者」の偉さは、相手も儲けた気にさせるところにある。こっちもあっちも「ありがとう」を言い合う、お互い様の取引だ。

いま、私がお金を払いながら「ありがとう」と言う相手は、医者ぐらいだ。もちろん、飲食店や服屋へ行っても、接客の良い相手には「ありがとう」を連発する。

しかし、DXが進んでくると、物やサービスを買って「ありがとう」を言う動機も機会も減るように思う。売る側がコストパフォーマンスを良くしようとすればするほど、買う側の私としては有難味が減りそうだ。

私の習い事経験は、24歳までに、ヤマハオルガン教室2年、習字8年、英会話1年、茶道1年で、先生方はみなさんとても低いコスパで教えてくださっていた。40歳で始めたいけばなも、習う側が早く帰りたくなるくらい先生のタイムパフォーマンスは悪かった。

いま教える立場になった我が身を振り返ろう。受講者が「ありがとう」と言いながら、受講料を払ってくれているだろうか? 心許ない。

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