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いけばな随想
diary

材料と作品 240401

2024/4/6

 高級店でディナーを食べると、数万円の支払いが生じる。客は「おいしかった!」と満足して支払う。超高級店でディナーを食べると、十数万円の支払いが生じる。客は「とてもおいしかった!」と満足して支払う。
 日頃、いけばなの稽古で使う花材代は千円程度に抑えている。花展に出品する際には数万円かけることもあるし、特注花材を使って花器も特注したりすると、費用は青天井だ。
 そんなふうに材料にお金をかけると、「あの桜は立派ねえ」とか、「あんな素敵なガラスの花器は見たこともないわ」と言ってもらえる可能性は高い。しかし、作品として高い評価を受けるかどうかは未知数だ。逆に、ありあわせの花と器で素晴らしい作品を作り得たとき、作家冥利に尽きるはずである。
 私は、作品とそれをつくった作者の構想やアイディアを見て欲しいのだが、花展の場が百貨店である場合、花そのものの美しさや高価さを見せたくなるジレンマを抱えがちだ。華やかな場に合わせて華やかないけばなを見せることをどうにか超越して、美術館に出品されるアート作品のような表現ができるようになりたい。

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