汀州Japanlogo 汀州Japanlogo

いけばな随想
diary

枯れること 250313

2025/3/14

 枯れそうだ、枯れてしまった……枯れると言っても、その指し示した植物の生物学的な死がどの時点になるか私には明言できない。そして、キレイな枯れ方をした……枯れることは必ずしもマイナスイメージばかりではない。いけばなでは、むしろ枯れた花材を「枯れもの」と呼んで重宝する。
 自分では意識していなくても、歳をとった「枯れ者」の発言には枯れた感が混じる。立ち上がったり座ったりするとき、別に痛くもないのに「イテテテテ」とつぶやいたり、自分の思い通りにならない案件にぶつかっても、面倒臭くて何でも「まぁエエか」と流してしまうなども、他人を見ていて共感できるようなら自分も歳をとった証拠である。
 直売所の花卉売場にはたくさんの生産者の花が並ぶ。商品の形状や鮮度保持の手間などから推測すると、野菜売場よりも品質管理が難しい。とりわけ難しいのが、枯れるのはまだいいが腐らせないようにすることだ。水に浸すにも水温や滅菌や水量が問題となるし、花と花との圧迫具合や枝同士の絡みで商品が傷みやすい。
 手をかければかけるほど花は腐らずに枯れてくれるようだ。

講師紹介