汀州Japanlogo 汀州Japanlogo

いけばな随想
diary

機械仕掛け 240728

2024/7/29

スタンリー・キューブリックの映画『機械仕掛けのオレンジ(英語のスラングで“超ヘンな奴”)』の、「機械」「仕掛け」という2つの魅惑的な言葉に誘惑され、中身はともかく、青年の私は映画館に入った。その後は、『天空の城ラピュタ』『ハウルの動く城』など宮崎駿の一連の作品で、めくるめく機械仕掛けの描き込みにむせび泣いたものだ。

さて、AIとかデジタルというと、よそよそしくドライな距離感がある。機械というと、鉄の冷たく重いクールな実体感や、肌で直接触れられる安心感もあるし、仕掛けという言葉には、人間の行為を伴う味わいが溢れていて、私が「機械仕掛け」を好きなのは、その両者を合体させたところの人間味溢れるアナログ感覚が凝縮しているからだ。

いけばなは、ナチュラルな花材を思い浮かべた印象としては柔らかい。しかし、ワイヤーや接着テープ、電動工具など、思いのほかハードな工作ツールも多用する。

私自身はいけばなに機械仕掛けを仕込んだことがないが、草月の初代家元・勅使河原蒼風には鉄の廃材を使った機械仕掛け的傑作があって、とても素敵なのだ。

講師紹介