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いけばな随想
diary

気配を宿す 240801

2024/8/2

具象絵画は、理屈で解読することができるかもしれない。抽象絵画も、意図を推測するくらいはできるかもしれない。アクション・ペインティングのように、論理的に頭で仕込みをしても行為自体は勢いやインスピレーションに任せた描き方もある。

絵を見るとき、まずは目という感覚器官で捉えることから始まる。そして、その情報が脳に伝達され、対理性情報と対感性情報とに仕分けされる。しかし、理屈だけ、感覚だけで絵画作品を見るということはない。仕分けされた情報は、今度はほぼ一瞬にして混ぜ合わされる。

ところが、いけばなは、気配を感じることはできても、理性で解釈するのが難しいことがある。理屈っぽくいけられた作品に対しては、理屈っぽい目と感覚が働くが、理屈っぽくない作品に対しては、見る側も理屈っぽくなくなって、純粋に目の愉しみで見ようとする姿勢が生まれるのだ。

神がかった感性や練られた「気」で出来上がったいけばなは、「いいね」で終わらない、「きれいな花だね」で終わらない、広さや深さのある、「なにかしら見過ごすことのできない気配」が宿っている。

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