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いけばな随想
diary

決まり手 250422

2025/4/23

 楽なほうに流れるのは簡単で、一度流されたら二度と戻って来られない。これは、川カヌーや海カヤックをしていた頃の教訓だ。敢えて困難を克服する気概を持って事に当たれば逆にうまくやりおおせるというのも、表裏をなす同じ教訓である。これを日本人全体に当てはめるのはよくないが、それでも多くの日本人がこの考えに共感するだろう。
 シンデレラや桃太郎のような世界中の童話や説話からもたらされる教訓も、困難を乗り越えた先にハッピーエンドが待ち構えている。
 いまの日本人は知らないが、かつての日本人はこの手の精神文化を共有していて、「頑張る」とか「耐え忍ぶ」とか、それ以上具体的に言語化できない根性論みたいなのが好きだ。また、現代的で理性的で都会的な人類ではなく、森のターザンのような行動文化と呼ぶのがふさわしいような衝動的な行動もとる。「ハラキリ」などもその象徴ではないだろうか。
 話が逸れてしまった。いけばなもただ草花を壺に挿すのでは飽き足らず、ああだこうだと相撲のように決まり手をつくって、ただ「いけた」というのでは許してもらえないのである。

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