演出 250110
2025/1/10
日本と中国の間には、国境線がある。だから政治的には100%他国同士ということだが、この線は見えない。文化的には相通じる部分が大きいはずなのに、相違点ばかりが喧伝されて、両国民のセンスや考え方は全く違うと感じるよう教育されてきた。
日本人は、遣隋使の時代から中国に憧れ、また朝鮮半島の国々にも親しみを感じていたはずなのに、いつの間にかそれを忘れた。次いで、欧米に憧れるとともにそれを凌駕したいと思ったが、戦争に敗れてやや卑屈に追随することとなった。その後高度成長を遂げ、改めて「日本の伝統文化」というようなことを言い始めたが、4千年くらいの長さで振り返ると、偉そうに言うほど独自性は高くない。いろいろな文化をミキサーにかけ、新奇性をアピールできるよう演出したにすぎない。
とすれば、日本文化に独自性があるなら、それは演出力なのかも。伝統的な神楽は、神様と住民に向けた踊りであり、祈りである。しかし、イベントと化した神楽は、お金を払う観客が対象となった。いけばなも、野にある花にどういう付加価値をつけるかという、演出の美なのだ。