無心の強さ 250419
2025/4/21
陶芸家と話をした。「最近、砥部焼の砥部焼らしい絵付けのレベルが下がっているような気がするんですけど?」呉須で描いた筆の線が汚くなっていると感じていて、そんな偉そうなことを言ってしまった私。
それに対して彼はこう言った。「昔の砥部焼は、(いわゆる生活雑器だったから)つくり手が偉そうに仕事をしていなかったわけですよ。それから、分業でやっている窯元では、線を引く人は線を引くばかりで、焼物全体の意匠に思い至っている暇なんかなかったんですよ。だから余計な欲がなく、ひたすら同じ線を毎日毎日描いていた」と。今は誰もが作家の地位を得てしまったから、作品を創作しなければならない。すると他人の手を借りることなく1人の能力だけでつくるから、得手不得手が出てきやすいのだそうである。
さて、我が社中は、4月の松山中央郵便局のロビー前の玄関に輪番で花をいけている。私以外の3人が初体験の場所だ。これが意外にうまくいくのだった。初めての取り組みには余計な欲も不要な先入観もないからなのか、テンパった状態が功を奏しているのだろう。真剣かつ無心で。