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いけばな随想
diary

生命 240908

2024/9/9

子どものころ夢中になった「鉄腕アトム」、「サイボーグ009」や「どろろ」などの漫画は、生命らしさとは何かという問題を突きつける。そんな大問題を子どもが正面から考えるにはハードルが高かったし、不思議な感覚を覚えながら、ただ心が囚われていた。

思えば、生物の生命ほど多様性に富むものはない。標準化してこれが最高だといえる完成形がない。遠からず必ず死ぬということが、生命の神秘性のバックボーンにあると思う。

さて、生成AIの登場で、絵画までもが人間の想像力の手を離れてしまうような心配もあるというが、私はそれを心配していない。人間には隙がある。人間には油断もあるし、人間はふと思い付いたりふと気が変わったりもする。また、気分が塞ぐことも快活になることもあるし、気圧で頭が重いことも、食べ過ぎ飲み過ぎで逆流性食道炎になったりもして、捉えどころがない。

この、捉えどころのなさこそが、生命らしさの原点ではないだろうか。どこまでもどこまでも他人に理解されないいけばなをいけること(私にはできないけれど)、それが生命力のあるいけばなだろう。

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