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いけばな随想
diary

皮膚感覚 240314

2024/3/19

 カッターナイフを使ったことのない若者が多いのに驚いたことがあったが、最近は、デザイナーになった新人ですらそういう人が多いと聞いて、また驚いた。カッターを使う際の体の構え方や、左手での定規の押さえ方まで先輩がちゃんと教えていないと、「切っといて」と指示だけ出して目を離していると、紙ではなく指を切って血を流している始末らしい。
 飲食店の知人も、アルバイト学生がオレンジをスパッと綺麗に切ってくれないと嘆いていた。
 話は違うが、私は小さいころ変な子どもだったと母に言われたのを思い出した。夏の暑い日、学校帰りの私が真っ赤な顔だったので、「暑いなら上着脱げば?」と母が言っても、私は汗をだらだら流しながら「ちょうどええけん」と言っていたそうだ。冬の寒い日も、“寒イボ”を出して震えながら、シャツ1枚と半ズボンのままで「ちょうどええけん」と言っていたらしい。
 そんなことはどうでもよくて、ともかく皮膚感覚だ。大事なのである。これだけは、経験の積み重ねでしか発達しないのである。枝の復元力や花の持続力を捉えるのも、皮膚感覚なのである。

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