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いけばな随想
diary

直接的に 231229

2023/12/30

 私は、自分の信じるものに自信がなかったから、つまり、本当に信じるには至っていなかったから、他人の意見にうろたえることが多かった。自信満々の人を前にすると、我慢するか遠慮するか妥協して、心の奥底では自分の考えを改めたり曲げたりもできず、ストレスを溜め込む。
 そんな対立する人間関係では、仲介者を置いて相手と向き合うと互いに深手を負わない。後腐れが残ったり、仲介者に迷惑をかけたりはするが。
 いけばなで、花材辞典を仲介者に仕立てて現物の花木と会話するのは不幸だ。花材辞典は確かにありがたいが、先にそれを見てしまうと、現物に対する自分の指先や眼の感覚がおざなりになる。しかし、自分の感覚に自信がないから、どうしても先に見てしまう。
 これは、旅行の場合も同様だ。どうしても、ガイドブックを先に見ておきたい。ビジョンというほど大げさでなくとも、先に知識を得てから行程表を準備したくなる。旅先の知識が全くない状態では、なかなか出発できない。しかし、問題は、どの程度で抑えられるかということで、それによっては、印象や感動をもっと深められる。

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