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いけばな随想
diary

直立するアイビー 250424

2025/4/25

 いつものバーに花をいけに行った。購入した花のほかに、庭ですくすく育っているアイビーの1本を切って行った。そのアイビーを見て、バーのマスターが「何の葉っぱ?」。カウンターのお客様も「そんな葉っぱ、見たことないです」と言う。
 彼らに見やすい角度で指し示しながら「アイビーですよ}と言うと、二人は「またまた、素人は知らないと決め付けて適当な名前を言っているんでしょう?」という顏だ。改めて自分も見直してみると、ピンと直立していて確かにアイビーらしくない。何か若い枝のようにも見える。出自を知っているから疑う気持ちにならなかっただけの話だ。
 木の枝は硬くて花茎や草は柔らかいという一般論の知識に汚染されると、アイビーは柔らかくてクネクネしているという思い込みになる。知識に照らして現物を見るから、知識と違った現実は否定されてしまう。これは、ネットニュースを信じ込む人々の無理解と同じで、直に見た現実を知識とするよりも、知り得た知識をもとに現実を見るという危ない世界認識のしかたである。
 実際には硬いアイビーが世の中にはあるのだった。

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