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いけばな随想
diary

真似まね 250119

2025/1/20

 何を真似るか、誰を真似るか、それによって一生が決まると言っても過言ではない。人生は、どうせゼロからの創造はできないから、母を真似て、父に反発し、長兄を真似て、先輩を真似て、上司に反発しながら、人生が充実していく。
 たとえば、仕事上で先輩を真似る場合、最初の内は先輩の行動の意味が全部はわからない。何であんなにペコペコ卑屈なくらい頭を下げるんだろうと、何であんなに心にもなく作り笑いするんだろうと。しかし、先輩本人からすれば、後輩に説明できる十分な論理は持ち合わせていない。理屈よりもむしろ、そのビジネスにおける“土俵”の伝統や慣例、期待されるマナーがあるのだ。だから、先輩を真似ると、意味は分からずとも、自然に業界のルールやマナーが身に付く。その良し悪しは別として。
 特にいけばなのような習い事は、教える側に信頼されるための努力が必要で、これはビジネスライクに醸成できる類のものではなく、宣教師のようなストイックさを持ち合わせなければならないようだ。
 試行錯誤しつつ真善美を追い求め続けることが、真似られる側の責任なのだろう。

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