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いけばな随想
diary

矛盾の中で 240108

2024/1/8

 私は、23歳で政治家の秘書になった。世間知らずの私には“想定外”が多過ぎて、心身を削り1年で辞した。以来、政治が嫌いで、しかし気になって仕方がないという矛盾を抱えている。
 25歳のとき、広告満載のタウン誌に反発して、広告のない雑誌を仲間と創刊した。第2号出版直前のタイミングで、協力してくれた印刷会社が倒産し、雑誌も廃刊した。仲間にはしょげかえった顔を見せたが、「助かったぁ」と心の中で思った。もし第2号が出ていたら、私の借金は倍増していただろう。広告料でしか出版費用が賄えない現実を学んだ挙句、否定していたはずのタウン誌の出版会社に入社したのだった。“踏み絵”を思い切り踏んだ瞬間だ。
 現在は、いけばなをしながら、花木の生産現場の状況については聞こえないふりや気付かないふりをしつつ、片目だけ開けて花木の流通に疑問や危惧を感じている。ポーズとして華道に没頭してはいても、面倒臭いと思うことも時にはある。
 SNSしかりである。日々のジョギング気分で自分のために始めたものの、気付けば他人を意識して、それに縛られた奴隷の気分なのだ。

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