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いけばな随想
diary

破調 240508

2024/5/11

1970年代にジェントル・ジャイアントという英国のロック・バンドが、少し活躍した。本国ではどれくらいの人気だったか知らないが、日本ではマニア御用達のバンドで、それを聴いていることを自慢したくても、ほとんど知られていないから話にならなかった。

今は、ダウンロードすれば聴けるが、昔は聴かせたい奴の家へLPレコードを持って行くか、自宅へ呼んで聴かせるしかなかった。互いに手間暇をかけ、リスクを負って友達づきあいをした。

そのバンド・メンバーは、クラシック音楽の演奏や作曲をたしなんでいて、演奏技術に破綻をきたすことが全くなかったかわりに、1曲の中でリズムの切り換えや転調を多用するし、何より特徴的なのが、特にリズムにおいて躓くような部分を挿入しないではいられないという問題児たちだったのである。美しいだけでは済まさないという根性があった。心地よく聴いて寛いでいても、必ずリズムが破調をきたして神経が逆立つというトラップが仕掛けてあるのだった。

そんなのを聴いて育った私だから、いけばなにも、ついつい破調を組み込んでしまうのである。

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