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いけばな随想
diary

秘密の言葉 250225

2025/2/25

 専門用語や業界用語は、無関係の生活者にとってはおまじないの言葉よりも意味がない。もし華道に奥義が存在したら、そこに書かれた内容は絶対に生活用語で綴られたものではない。そのことは、青少年期の学習を思い返すとよくわかる。小学1年生で習った知識だけでは、中学1年生の試験問題には読めない漢字がたくさん見出されるだろうし、もし知った漢字でもすべての意味は分からないだろう。
 草月流の理事昇格試験の問題文も、生活用語は一切使われていなかった。もし一般の人々がそれを読んでも、すべて日本語で書かれているにも関わらず解答を試みることすら困難である。
 いけばなには、切る・留める・矯めるの3つのキーワードがある。花ハサミで枝や茎を切ること、花瓶や水盤に花材を安定させること、この2つは生活用語として理解できても、矯める(ためる)は難解だ。
 雑に言うと、矯めるとは矯正すること。いけばなで使うとき、そこには若干の無理を強いた曲げる行為を含む。もっと徹底させる場合「折り矯め」の技術を使う。単に折るのでも曲げるのでもない秘密の言葉で呼ばれる技だ。

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