素人あなどれず 250217
2025/2/17
私がいけばなに打たれて入門したのは、25年前のこと。文字通り心打たれて感動してしまい、いけばな展のその場で入門もしたし、入門した理由を周りの人たちに熱く語った。いけばなに全く不案内の私が受けたその時の印象は、いけばなの経験を積み始めて以降は味わったことのない強いものだった。
なぜ素人の感受性が勝っているかというと、おそらく作品を論理的または経験的な解釈として見ることができないために、本能的または感覚的に曇りなく見ることができるからだろう。それを世の中では「素人感覚」と呼んで蔑視するのだが、その方がよっぽど多数の人々を代表する感覚だし、対象の作品を先入観なく見られる。
料理を食べて「美味しいわぁ」と言うとき調理師資格が要らないように、「すてきだわぁ」と感動するのにいけばなの免状は要らないのだった。それなのに、最近の私は権威主義的な評価に傾きがちだったことは否めない。
自分への反省を込めて言うと、リラックスして対象を素直に楽しむという基本的な態度が取れない人は、音楽を聴いても人前で体を動かすことを躊躇する人である。