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いけばな随想
diary

線の表現 231207

2023/12/10

 引き続き切り絵の話題だ。これは貼り絵よりも経験上技術を要する。きれいな曲線を切るには慣れが必要だ。小さい曲線はナイフをスムーズに回転(場合によっては、ナイフを動かさず紙の方を回転)させることが難しく、大きい曲線を切るときは、弧の中心に対して体を大きく使って等距離の円を切るのが難しい。
 つまり、最終的に色面を切り出すにしても、きれいな線を描いてナイフを動かせるかどうかが作業の決め手となる。
 さて、いけばなを構成する三要素というのがあって、それは「線」「色」「塊」だ。
 三要素のうち、仮に花や葉の色を最も強く意識したとしよう。しかし、花材の茎や枝はどうしても線の要素を強く持ち合わせているので、これを無視することはできない。理屈っぽく言ってしまうと、数理的(?)には「面は線の集合」なので、面よりも線のほうがより基本的な要素。そして、いけばなで「色」を扱う場合も、「色面」よりも「最も基本的な要素は線」ということではないかと思う。
 そして私は、色の表現がうまくいった時よりも、線の表現がうまくできた時のほうが喜びが大きい。

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