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いけばな随想
diary

美意識と生活 231021

2023/10/21

 大量生産・大量消費の高度成長期を生きてきた私は、仕事も生活も慌ただしく、いろいろ雑で汚かったと振り返ります。1980年代は生活文化という言葉が盛んに使われていて、デザイン出版会社で制作ディレクターをしていた私は、それを高めようという愛媛県発注の仕事などでちょこちょこ稼がせてもらいました。
 生活文化とは言っても、普段の生活はたいてい普段着なので、さほど美しい文化が現出するわけもありません。現役時代の私は、現実過ぎる毎日に進んで忙殺されていて、美意識を膨らませることができませんでした。日常的に徹底して美しさを追求するのはとても無理だと思っていました。
 いま準隠居生活に入り、五感も頭も空きができたので、もう少し美意識に忠実でありたいと思い始めています。「文化」というと純粋に芸術などに親しむことを思い浮かべますが、「生活」というとスポーツや旅行、読書などを娯楽的に思いうかべることができます。そんなとき、「生活文化」という中間的な言葉にすごくフィットする感じがするのがいけばなじゃないかしらん? と含み笑いをしてしまうのでした。

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