聞く力 241011
2024/10/17
コミュニケーションは、聞くことと話すことで成り立つ。聞くことは相手を理解することで、話すことは自分のことを相手に理解させること。つまり、相互理解がコミュニケーションだ。
いけばなでは私が花に話すことがもっぱらで、花の方はなかなか私に話してくれない。だから、聞く行為は何かで代用しなければならず、それは花の言いたいことを想像するということに行き着く。
人間の五感の中では相対的に視覚が最も優位だと言われるが、遠い物を見る視覚よりも遠い音を聞く聴覚の方が、遠くを察知することにかけては優れているように思う。香りに関しても見ると言わずに聞くということから考えても、明確でない事象を認知できるのは視覚ではなくて聴覚だ。
だから、いけばなでは、微かな花の声を聞き耳たてて想像しながら捉えることが重要だ。いけばなは見せるものだけれど、制作上は見ること以上に聞くことを大事にしなければならず、聞くことのうちには想像することも含まれるし、目による子細な観察も聞く行為の一部に含まれる態度だ。また、枝葉を触って状態を知るのも、聞く行為の一部だ。