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いけばな随想
diary

自分の置き場所 250412

2025/4/12

 水盤に花をいけるとき剣山の位置は重要で、基本的には立真型は手前の方、傾真型は奥の方に置く。出来上がったいけばなをどこに飾るかはそれ以前に決めておく問題で、居宅であれば床の間や玄関、応接間やリビングルーム、寝室やトイレ、食卓や書斎など選択肢は多い。
 生活の場でないとすれば、次に考えられるのは職場や店頭など仕事の場ということになる。これらは自分や自分たちのためにいける場合で、請負業務のいけばなの置き場所は相手様次第なので、考えても際限がない。
 そうやっていろいろな花材や剣山の置き場所、出来上がったいけばなの置き場所を検討していくのだが、神社にいけるようになって考えるのは自分自身の置き場所である。
 いけばなをする者として最善を尽くしたいとは思う。しかし正直なところ、慰霊と言われても実感が湧かない。自分の心を持て余して、遺族会の方々の傍らにいながら自分の心の置き場に困っているのだった。たとえば『南総里見八犬伝』では「仁義礼智忠信孝悌」が諭されていたが、強いて決めつけて「礼」という気分を感じるよう自分に言い聞かせていた。 

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