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いけばな随想
diary

色の表現 231206

2023/12/10

 ドローイングで描くとき、絵具の混色や塗り重ね方などに一定の熟練が必要だ。しかし、貼り絵であれば、色を作るのではなく色を選ぶ作業なので、技術をセンスが補える。
 先日、黒紙で切り絵を描いた。切り絵は、子供でも取り組めるし、技術が低かろうとも何かが出来上がることにおいて、楽しみが得やすい。私は、複数の色紙を背景色として下地に貼っておき、黒い紙で切り出した影絵を表層に貼って仕上げた。
 いけばなも、色をつくらず選ぶ点で、ドローイングよりも貼り絵に近い。ただ、立体的・空間的に配色していくため、作業方法は異なってくる。特に、貼り絵や切り絵であれば背景をコントロールできても、いけばなは、背景をつくることに制約が大きい。また、花が小さいカスミソウなどは、点描で描いたように向こうが透けてしまう。
 花展でもない限り、「いけばなは基本的に与えられた場にいけるものだから、周辺空間の色合いに負けたりするんだよなあ」と思い出したりしているうちに、(花材に着色するなど)色をつくるいけばなに、草月はずっとチャレンジしてきたことに思い当った。

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