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いけばな随想
diary

花と名前 240228

2024/3/5

松山市三番町の通りには、桜の街路樹が植わっている。少なくとも八坂通りから勝山通りに至る区間の桜は、その名を「一葉(いちよう)」という。花は大輪の八重咲で、もうすぐ訪れる満開の豪勢さは見ものである。

さて、当局が名札を付けてくれていたので、その名を知ることになったが、「一葉」だと知るまでは存在を無視していた。

人間も同じで、大街道商店街を歩いていても、名も知らないほとんどの人に対して私は興味がない。何十人、何百人とすれ違う人波に見知った人の顔を見つけると、声を掛けるかどうかは別として、当然のことながら私の感覚は反応する。「あれっ? 顔は知っているけれど、誰だっけ……。確か、20年以上前になるけれど、一緒に仕事をしたことがあるぞ……」。

いけばなをする時、いけている花の名前は知っていたい。ところが、買って帰ったあとですっかり忘れてしまうこともある。それは自分自身の責任なので、なんとか花材辞典やアプリで調べて思い出す。

困るのが、産直市場などで、名前を付けずに金額表示だけで売られている花や木だ。どうしても買う気にならない。

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