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いけばな随想
diary

花を愛するように 250213

2025/2/13

 さぞかし花を愛していらっしゃるんでしょうね……と言われて、私は実家の庭を愛しているかもしれないが、人間以上に花を愛しているとは思えなかった。庭を愛しているのはそこに親兄弟と過ごした思い出があるからで、庭木の1本にも愛着があるのはその木から過去のあれこれを思い出せるからだ。あくまでも愛する人との関連において花を愛している。
 しかし、赤の他人より飼っている猫に対して愛情を感じるように、縁のない人よりは庭木の方を愛しているかもしれない。それより何より一番大事なのは自分である。大事な自分が愛している相手だから愛せる。そんな自分が愛着を感じる対象だから、花は大切に扱いたい。そのようなことで、私は花を半分くらい愛している。
 さて、愛は暴力という形で表れることもあると広く知られているように、私はしばしば花を傷めつけるかのような行為に及ぶことがある。むしり取る、折り曲げる、切り刻む、剣山に突き刺す等々、他人が聞くと本当に暴力的な危ない人かと思われかねない。いえいえ本当に愛しているんです、と言えば言うほど倒錯者かと疑われそうだ。

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