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いけばな随想
diary

花材と私 240115

2024/1/16

ベンチマークとしている作品を、まだ越えられない。私自身の経験と感性の小さな範囲に収まっている技能では、まだ足りないというわけだ。他人の作品に自分と似た感性を見つけて、すぐにそれを嬉しがっているようでは、これも限界だろう。

さて、作品制作では、私の思いと私の手が花材を扱い、足したり引いたりして形づくっていく。花材を征服しようとは思っていなくて、ただ仲良くしたいだけなのに思い通りにはいかない。むしろ、つくり手である私の思いの方が、花材の主張によって盛られたり削られたりする。花材を盛りながら自分が盛られ、花材を削りながら自分が削られる関係だ。

花材の主張(個性)が強い場合の対応は2つ。1つ目は、花材に降参して妥協点を見出す。2つ目は、着手前のプランを白紙に戻し、再度始めからやり直す。後者を選ぶ方が難しいが、花材に自分を預ける余裕があるときには自分でも思いがけない作品になることがあって、「殻を1つ割ったな」と嬉しい瞬間だ。

このスタンスを普段の人間関係でも生かせばいいじゃん、と自分に言い聞かせてやまない今日この頃である。

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