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いけばな随想
diary

草枕 231114

2023/11/14

 夏目漱石の『草枕』に、「文明はあらゆる限りの手段をつくして、個性を発達せしめたる後、あらゆる限りの方法によってこの個性を踏み付けようとする」という記述がある。
 ああ、まさにその通りだわいと思う。いまの日本の高校教育は、個性を伸ばすことが大事だ大事だと謳いながら、小中学校で特別個性的でなく育成された生徒を一蓮托生、君は文系だ理系だと枠に嵌め、偏差値によって君は就職するか専門学校進学で十分ですと手放して、お仕舞い。
 私のいけばなの生徒さんで、文科省予算で合衆国に2年間学んだ学生がいて、彼が帰国報告にいけばな教室を訪れてくれたとき、居合わせた生徒さんに対して毛筆でこう書いた。「いけばな≧English」。相手の関心を引く話題や経験を持ち合わせているほうが、コミュニケーションツールの英語力を持ち合わせている以上に強かったというメッセージ。
 国際交流を促進させるためには、日本人としての個性と、個々人の個性を際立たせることが有効で、彼流に書くと「international≧global」。国際間の「際」こそが大事で、グローバルに一括りにすべきではないと思う次第。

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