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いけばな随想
diary

見えない力 240214

2024/2/26

2月3日に、「古いまま新しく」し続けていく糠床に思いが至った。腐敗せず発酵するという作用は、気まぐれではなく、善玉と呼ばれる乳酸菌などの働きで確実に行われるらしい。

では、エジプトのミイラはどうなってんの? 腐敗も発酵もしないとかさ。子供のころ、水に入れると孵化する古代生物の卵なるものが売られたけれど、あの卵は何千年もどうなってんの? ふつう干からびるんじゃない? 植物の種子も、発芽条件が整うまで、永く生き延びるみたいだよね?

いけばなで花材を扱っていて、興味深いことが本当にたくさんある。萎れかけた花でも、「水切り」すると短時間で元気を取り戻す。人間は、一度弱ると、滋養強壮ドリンクを飲んでもなかなか復活しないというのに!

「挿し木」というやつも、不思議に溢れている。私の永久歯や、一部死滅した心臓の細胞なども、なんとか復活しないものかと羨ましくもある。

そういう生命の働きとは土俵が違うとしても、いけばなで花材を使うならば、彼らの心が晴れやかになるよう、芸術を志す力や美を造形するセンスを鍛えながら向き合わなければなるまい。

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