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いけばな随想
diary

見える景色 240309

2024/3/15

 標高300mの丘から見る景色と、3000mの山から見る景色は違う。同じように、いけばなを登り始めたばかりの目で見るのと、40年も登り続けてきた人の目で見るのとでは、作品の見え方が違ってくる。
 私は、いけばなを始めた頃、自分の作品の出来栄えに自信があった。デザインに携わる身であるという自負心もあった。しかし、どんな競技でも、シロウトだからこそ繰り出せる技がある。経験者であれば、恐ろしくリスキーなあまり躊躇してしまうような技を、よく知らないからこそ平然と繰り出せるのだろう。あのころ私は、まだ若かった。
 その後、キャリアを積んで、見る目が少し成長した。そうすると、キャリアがあって腕もいい人は、一見リスキーなことをちゃんとリスクヘッジした状態で、難しいことをさも簡単そうに行っていることに気付かされるようになった。
 子どもの奔放ないけばなと、大人の奔放に見えるいけばなとの違いがそこにある。大人の作品には無鉄砲さはないかもしれないけれど、必ずしも奔放さを失っているわけではないし、そういう高揚を感じさせてくれる作品が好きだ。

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