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いけばな随想
diary

見たくなかった実花展 250202

2025/2/2

 先日行った京セラ美術館の蜷川実花展は、早歩きで回ってそそくさと退場した。先入観に囚われずに何でも見て何でも吸収するのがいいと思っていたが、長居をしたくなかった。
 展覧会のタイトルは「彼岸の光、此岸の影」。画像・映像・照明・ペインティングと音楽をミックスしていて、かつ、展示室の一室を床・壁・天井としてではなくキャンバスやスクリーンに見立てた、広い空間的な表現が多かった。
 ところが、目に入るのは順路に沿ってだらだらと進む、まるで神戸ルミナリエでデートしているようなカップルや自撮りのポジション取りにいそしむグループの混雑ばかりだし、耳に入るのは人の流れを誘導するスタッフの声ばかりで、視覚も聴覚も作品以外の要素に占領され、払った2,300円は初詣の賽銭より多かったという残念さであった。
 もともと、美術作品は美術館に展示されるものだった。ところが、ミクストメディアの作品の展示は、単に美術館の箱があればいいとは限らなくなった。いけばなも、ミクストメディアの手法を取り入れた表現もあるだろうし、展示空間の課題も改めて意識したい。

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