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いけばな随想
diary

言葉にならないもの 240123

2024/1/23

絵画の展覧会で、あらかじめ入手したカタログと実作品とを見比べながら回るのは、良し悪しどっちなのだろうか。私としては良くないと思っている。良くない良くないと思いながら、作品を見るより先に掲示された解説を読み込んでしまうことも多い。

予備知識なく初めて見る絵との出会いには、全肉体的な感受性が踊る。ところが、言語化された予備知識があればあるほど、その出会いは脳味噌だけで完結して、心が受けるはずの新鮮な感動が失われてしまう。

これは、旅行も同じで、あらかじめ旅行ガイドに目を通してしまうと、言語的な理解と既視感に征服され、現場での感じ方にバイアスがかかって鳥肌も立たない。

お見合いという前時代的(?)なイベントにおいてしかりである。学歴や背丈や収入などを把握した上で席に臨む。そこには数値化された物体が存在するだけで、相手の人間的な魅力はオマケでしかない。

そんなこんなを考えると、言葉は、理解にとって役に立たないどころか障害である。言語的説明は想像を制限するというか、言葉でのお膳立てが行き届き過ぎて、想像力を不用にしてしまう。

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