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いけばな随想
diary

越境 240930

2024/10/1

血縁の近い者同士の結婚は、タブー視されている。人類の経験的な知恵である。この考え方に倣うと、「習い事でも小さな一流派内の意見ばかりを突き合わせて検討しても、面白い結論は得られない」ということになる。

話が飛ぶけれど、小学生の時、校区外へ行くときは、それが友人宅へ遊びに行くのでも買物に行くのでも、親が同伴でなくてはならない決まりがあったような……。つまり、越境という冒険をしてはならないという暗黙の決まりがあった。しかし、校区の範囲を示す線が道路に引かれているでもなく、いい子は、はっきりしない区切りを自分に課すしかなかった。

だから越境は冒険である。精神的な越境の場合には超えるべき境界線を自分で引く以外にない。境界線では、向こうとこちらの価値観の大きな変化に晒される。

私のいけばなのお弟子さんの1人は、2つの流派を掛け持ちしている。二重国籍者である。両方から不届き者と指差される。私はこの越境に拍手を送る。越境すべき人と、越境して壊れる人がいるというのが、私の見方だ。越境すべき人には、境界線の方がすっと消えてくれる。

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