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いけばな随想
diary

趣味 240601

2024/6/3

趣味がいいと言われると、こそばゆい。これは、気取らないことを気取っているダンディーのフリを見透かされたようで恥ずかしいからだ。しかし、趣味が悪いと言われると腹が立つ。ここで言う趣味とは、美しさや面白さに対する好みの持ちようなので、当人の価値観にも関わる重大事だから、人格を否定されたような錯覚に陥るのである。

中高生の頃には、趣味は読書ですと言っていれば過ごせた。部活をやっていれば、その競技イコール趣味だった。大人になると趣味は仕事ですという奴も現れたが、不思議ではなかった。私は、仕事を持っているときは、趣味はいけばなですと言い切っていたが、今は私にとって職業ではないし趣味だとも言い切れない微妙な位置にある。

今さら「下手の横好きです」と言うのも悪趣味だし、「気に入っています」というのはよそよそしいし、趣味と生活が一体になって没頭しているこの感じを、どう表せばいい?

自己批判的に言うならば、職業を免除された者(昔風には隠居老人)が等しく持ちうる立場が「趣味人」であり、ヨーロッパの地であれば、それは貴族のことである。

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