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いけばな随想
diary

道楽 250323

2025/3/26

 好きな道を大いに楽しんで歩く状態を道楽と言い、何かを犠牲にしながら自分の楽しみに没頭できる人を道楽者と呼ぶ。趣味は他人や家族が認めてあげられる範疇にあっても、道楽は周囲の人々を悩ませたり自身の生活が破綻したりするくらい、のめり込みが激しい。
 食道楽は美食の食べ歩きによって身体を壊す。着道楽は一生かかっても履き切れない数のパンツや靴を持っている。そうして、茶道楽や映画道楽、ピアノ道楽などがあって、ついには花道楽へと向かうのであった。
 花道楽は花三昧という贅沢病に陥りやすい。美味い食べ物を体験してしまうと口が驕り、もう元の口には戻れないというのと同じで、値段の高い花はそれなりに綺麗なので安い花ではもう満足できなくなるという病気である。こうなると、いつも高価な服を着ていないと恥ずかしくて人前に出られないという病状に近く、いけばな展においても立派な花を使うことで作品の価値をアピールすることになる。
 しかしそれでは、高額な花を仕入れられる立場にあるという自慢でしかない。いけばな作家としての腕前を披露したことにはならない。

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