汀州Japanlogo 汀州Japanlogo

いけばな随想
diary

「綺麗」の演出 240515

2024/5/18

汚い花より、綺麗な花の方がいいと素直に思う。では、汚いいけばなと綺麗ないけばなは、どっちがいいだろうね? この問いに対しても、少なくとも汚いいけばなは嫌だなあと思う。では、汚い人と綺麗な人のどっちが好き? と聞かれたらどうしよう。「汚いだけの人は嫌いだし、でも、綺麗なだけの人も嫌いだね」そう答えようか。

つまり、綺麗か綺麗でないかというような、イエス・オア・ノーを単純に求めようとする質問のしかた自体がナンセンスであって、そんな問いに答えたところで、別に人生において何の意味もない。

いけばなは、真副控の3つの「主枝」で構造がつくられ、それを取り囲むように「従枝」が何本かいけられる。そして、それが特定の空間に置かれる。もちろん素晴らしく綺麗なバラを一輪挿しに一輪だけいけることもあるだろう。いぜれにせよ、どこにどのように置くかによって景色は大いに変わる。

やはり、いけばなをする人は、総合プロデューサーにならなければならない。「綺麗」のために陰や影をつくり、「綺麗」のために破調も用いて、綺麗なだけの「綺麗」を嫌わなくては!

講師紹介