ただ待つこと 251228
2025/12/29
昭和を振り返るテレビ番組があって、フィリピンの島で戦時下の命令を守って30年間ジャングルに潜んでいた小野田寛郎さんを発見した様子が映された。
政府も後押しをして、9千万円もの費用と人員を投入し、家族が直接呼びかけても森から出てはくれなかった。ところが、世界を放浪していた25歳の鈴木紀夫さんが、1974年に小野田さんが潜んでいるであろう森の近くにテントを張り、作為的にボンヤリを装って5日間ほど過ごしていると、小野田さんの方から彼の前に現われてくれたのだが、ひょっとすると、鈴木青年は作戦を遂行したというよりも、意識的にほとんど無策で臨んだのではないかと思い当たった。
ビジネスの世界に慣れると、合理的に成果を求める姿勢が身に付き、コスパやタイパがいい方法を選択する。しかし、小野田さんの30年や、鈴木青年の放浪癖は、時間のルーズな使い方にも罪悪を感じない、非論理的流れに身を任せる術を体得させたのではないか。
いけばな作品のイメージを呼び出そうとする時にも感じる絶望感は、彼らのように「ただ待つ」ということで、案外解消するかもしれない。