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いけばな随想
diary

アーチストと職人 240705

2024/7/5

アーチストは常に独創的に、自分をも乗り越えていかねばならない。職人は安定した高品質を顧客に対して生み出し続けなくてはならず、これも大変な宿命だ。

アーチストは、職人と呼ばれたくない人が多い。しかし、キャリアのあるアーチストは、それぞれに職人技と呼べるような独自の技術を持っている。独自性が高いため、万人が使いこなせる技術ではない。独自性でもって新しい価値を生み出すのがアーチストである。

職人は「俺は職人だ」と言いながら、心では「アーチスト」と呼ばれたい人が多い。しかし、親方から相伝した技術を、弟子に伝える使命があって、自分独自の技術にこだわっていては伝承者としての名が廃るのである。既成の価値を伝承するのが職人である。

だから、職人には、あと3つのことが求められる。学ぶ素質、教える技術、教える相手を見つける幸運である。アーチストは気楽でいいかというとそうでもない。孤独を楽しめる素質、強い自己肯定感、購買者を見つける幸運が要る。

いけばなは、アーチストと職人の領域にまたがっているが、軸足の置き方は、人それぞれである。

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