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いけばな随想
diary

ダンディーないけばな 240530

2024/6/2

気取らないで気取るというのは、やり過ぎても足りなくても野暮になる。見せつけ過ぎず抑制されたいけばなが理想だ。

人間で言うと、高級スーツに高価な靴、高価な腕時計に香水をまとった紳士が『007』の古いシリーズのショーン・コネリーだったらいいが、最近作のダニエル・クレイグには取って付けた感じがしてむず痒い。

同じような感覚で、私が高価な花器に高価な花材をいけると、むず痒い作品になってしまうことは明らかだ。花器も作品の一部なので、いけばな展で私が見てしまうのは花器と花材と全体のバランスだ。絵は下手なのに額縁だけ立派、みたいにならないよう気を付けたい。気を付けるのは、上品さと言い換えてもいい。これは、作品の荒々しさを否定するものではない。意図した荒々しさにブレーキをかけるような花器はバランスが悪く、荒々しさを強調するような花器を取り合わせるのは理知的で上品だと思う。

ダンディーないけばながあるとすれば、それはいけばなによって空間全体の調和が取れ、かつ華やかさや静謐さやなごやかさなど、そこで過ごす人の心情とマッチすることだ。

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