不都合な花 251006
2025/10/6
トマトやレタスやイチゴや……スーパーマーケットに並ぶ果物野菜は、遠い産地から、外国からも太平洋を越えてやって来る。そうした大量流通で遠くから来る物は、総じて見た目が綺麗だ。
最近の消費者は(私がその代表格だが)、食物の正体を見分ける能力が低いため、見かけと味が比例していると錯覚するから損をしている。大量流通で動く物は安いから、価格面でもなびいてしまう。味や栄養価よりも見かけと価格なのだ。
一方、産直市に並ぶ果物野菜には、味はいいが見かけはイマイチというものも混じる。食物の場合は、見かけはイマイチでも味が良ければ価値は高い。問題は産直市に並ぶ花卉だ。果物野菜と同じ農作物なのに、見かけが価値のほとんどを占める。大量流通の花は都会の市場に行くので、産直市にやって来るのは流通の末端のごく一部である。手間をかけ過ぎるとコスト倒れになるし、結果的に見かけが整っていないことも多い。
草月の初代家元の作品は、枯れた草や虫食い葉も積極的に取り入れて事も無げにいけている。どんな花でも素敵に料理して、全部美味しいいけばなになっている。