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いけばな随想
diary

世界観 250102

2025/1/3

 紅白歌合戦をぼんやり見ながら、登場する人たちを私は2つに分類していた。世界観を感じるか、感じないかである。歌っている当人のバックボーンや表現したい世界まで見える人と、目の前の姿しか見えない人である。いけばなでも同様に、作者の思いや世界観によって、より大きく深い空間を感じるものと、目の前の作品しか目に入らないものとがある。
 さて、全国高校サッカーで、松山北高が躍進した。3回戦で敗れてしまったが、彼らの繰り出す1つ1つのプレーには、展開したいチームとしての戦略が感じられた。思い付きや苦し紛れのプレーがほとんどなく、高校1、2年生でそこまでの広い視野と深い洞察力があるのかと舌を巻いた。
 私の青少年期はどうだったかというと、高度成長する産業社会の画一的な世界観しか持っていなかった。個性や自主性が大事という言葉だけを偉そうに使い、実のところ画一的な教育の申し子となっていた。世界観を持っていたつもりだったが、他人のつくった世界観に泳がされていただけだった。
 今の人たちに倣って、小さな自分とそろそろおさらばしたいところである。

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