汀州Japanlogo 汀州Japanlogo

いけばな随想
diary

健康な花 240821

2024/8/21

暗い花の反対は、明るい花。不健康な花の反対は、健康な花。一般的に好まれるのは明るく健康な花で、就職活動に向かう学生にも、明るく健康な表情や見かけを整えるよう指導される。先日、フランスの俳優アラン・ドロンが亡くなった。彼の魅力は美男子であり且つ憂いや狂気を秘めていたことで、完全無欠の絵に描いたような好男子でしかなかったならば、あれだけの人気を博すことはなかっただろう。

葉っぱを齧られた庭木を、不完全だということもできれば、虫が食べたいと思ったくらい健康な花だと見ることもできる。農薬等に守られて健康そうに見える切り花を、ほんとうに健康だと言い切れるかという隠れた問題もある。

さて、松山市内には、フィットネス施設がどんどん増えているように感じる。美容と健康志向が進行している証拠だろう。これは、不健康でない自分を保つための節制行動なのか、より健康的に見せたい欲求のための消費行動なのか?

精神的健康を志向する人ならばこそ、不健康で暗い美術やいけばなを、感性的なワクチンとして定期的に注入することが有効だと思うがどうだろう。

講師紹介