剣山 260112
2026/1/12
いけばなは、いける行為といけられる花とが合わさって成立している。そして、映画においてエキストラが重要な役割を果たすように、いけばなにも隠れて目立たない役者が存在する。
いけばなで一番目立つのはもちろん花で、次が花器、そして敷板や台を使っている場合はそれらがそのまた次の存在だ。そして、陰の代表が剣山である。水盤を使って「盛花」をいけるには、剣山がどうしても必要になる。しかし、隠されなくてはならない。「いないことにしてくれ」と要求される役者なのだ。
料理の世界でも、ダシは味を支える決め手なのにも関わらず、最終的には隠れて見えない役柄に甘んじる。人間社会においても、同じような役を引き受ける人は多い。しかし、そこに脚光を浴びせようとすれば、有難迷惑になったり、時として恨まれたりすることもあるから注意が必要だ。
私の生徒さんで、剣山を10個高く重ねて主役とし、それに花を添えて作品となした人がいる。びっくりさせられた。そういう主客逆転の行為も、いけばなでは許される。実生活では試みえない剣山革命、素敵で楽しいクーデターであった。