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いけばな随想
diary

天啓 250926

2025/9/26

 技芸の継承は口伝や書物によるバトンタッチ形式だ。華道の場合も、どこかの師範の門下となって公式テキストが与えられ、順を追って考え方や技術をモノにしていく。
 家元ご本人も常に研鑽し続けることを世間や身内から求められ、自作テキストを日々アップデートしなくてはならない。1つ1つの型はすべて、いけばな草月流の奥義に踏み込みかけている(はずだ)から、私たち門下の者は、いくらか稽古を積んでいくうちに「これが奥義だろうか、あれが奥義だったのだろうか」と、奥義にかすかに触れたような、心に光が射す瞬間が何度か出てくるようになる。
 しかし、数日の後に冷静になって振り返ると、それは改めて言語化してまとめ直すには幼稚な解釈だったことが自覚されて、せっかく出くわした喜びは単なる思い込みだったとして捨てなければならない。
 口伝やテキストによる継承は、地球の表面を水平的につなげていく。しかし、1人の天才による突発的な気付きというか覚醒というか、水平的に広がる地理や歴史とは無縁に、天啓と呼ぶべき科学的発見や芸術的表現が降りてくることも期待したい。

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