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いけばな随想
diary

年明けに老人力 250101

2025/1/1

 紅白歌合戦で、南こうせつとイルカが往年の名曲『神田川』と『なごり雪』を2人で歌った。その歌い方に、赤瀬川原平の言う「老人力」をまざまざと見せつけられた。
 2人の声は昔以上に魅力的ではないか! 肩の力が抜け、喉の力も抜けて、ギターを爪弾く指の力も抜け、弾いている音もところどころ抜けている感じだった。それでも歌は余裕しゃくしゃくで伸びやかだし、一層の情感がこもっていた。
「老人力」は、物忘れが思わぬ効果を発揮するくらいの理解でしかなかったのだが、真の「老人力」は何か力が付くことではなくて、力みがなくなることだと悟った。しかし、力が抜けていないと力が出ないというのは体験的によくわかっているのに、それを頭で理解していても、体の力を思うようにコントロールできないのである。頭の理解があればあるほど、体の方は頭の理屈の金縛りになるのだった。
 頭と体の両方の力みをなくす方法として、飲酒を試すとか、徹夜してフラフラになるとかしてみたが、それでは緩み過ぎる。力みのない、老人力あふれるいけばながいけられるよう、まずは頭のネジを緩めたい。

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