文体 240901
2024/9/1
人はそれぞれ母国語を話し、読んで、書く。それ以上を求める人のために、話し方講座や書き方の指南書がある。中学・高校の授業に古典と漢文があったのは、現代国語を駆使するためには古典的教養が必要だという判断だろう。
小説の世界では、文体も議論される。それでは、いけばなにおける文体のようなもの、または、もう一歩進んで書体のようなものがあるとすればどういうことを指すだろうか。まず、いけばなにおいても、古典的教養が必要で、名人の筆跡を真似るように先人のいけ方を真似る。つまり、歴史的に鍛えられてきた感覚を体得して美しいとされる型を理解する。
そして、書における楷書、行書、草書のように、いけばなにも使い分けるべき「場に応じた書体(的なもの)」があるということだ。気品や格調を重んじるべき楷書的いけばな、気力や勢いを感じさせる行書的いけばな、楽しさや破調に遊ぶ草書的いけばな、そういう感じを生かしたい。
ただし、品性はすべてのいけばなにおいて大切な文体だと思っていて、それを失うとスーパーの安売りのPOPや商店街の造花装飾に堕してしまう。