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いけばな随想
diary

文化の土台 240313

2024/3/19

 ずっと前、調理学校の学生たちと、パリのレストラン「ギー・サヴォア」で食べたことがある。当時ミシュラン1つ星で、いまは2つ星だ。
 ギーさんが気さくだったので、「この店で雇われるためには、どんな条件がありますか?」と思い切って質問してみた。シェフが答えた。「まず第一に、正しいフランス語を話せること。第二に、プレーヤーとして料理以外に得意なものを持っていること。第三に、プレーヤーとしてではなく、お客様との話し相手として、得意なジャンルをもっていること」
 私は聞いた。「料理の腕前はどうですか?」シェフが言うには、「この私が教えるんだから、誰だって上手になる。だからはじめは、料理ができなくて構わない」
 鼻高々に言い切ることが嫌らしく聞こえることもあるが、それがとてもカッコ良く聞こえた。料理をすること以上に大切にしているものがあるという前提で、技術としての料理は料理人だから上手にできて当然かな? みたいなノリの文脈だから、嫌らしくない。ことさら真面目に控えめに物を言うことが美徳の日本で、華道も心底分厚い文化を築けるといいな。

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