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いけばな随想
diary

消えるいけばな 241214

2024/12/14

 いけばなは、作品の形を長く残さない。冬場で4日、夏場で2日。水替えをちゃんとすれば、もっと長く持つ。花材や他の条件にもよる。枝ものは1か月くらい平気で持つので、心苦しいがむしろ早く処分しなければ部屋が枝ものに占領されて熱帯雨林のようになる。
 いけばなは、食材の腐りやすい料理と同じで、花材の姿や性質が変わりやすいし、枯れやすく腐りやすい。一定の時間が経つと、この世からおさらばだ。消え去ってくれるから、仮に出来が悪くても尾を引かないのはいいことかもしれない。枯れる前にいけ終わらなくてはならないため、制作時間も長引かない。
 ドライフラワーやプリザーブドフラワーで作ったブーケなどは長持ちするが、いけばなの基本技術の1つである「矯める(曲げる)」ことが難しいので、そのへんの枯れものを、いけばなではあまり積極的には使わない。ドライやプリザーブドのアレンジメントは、形が長く残るぶん、良し悪しに関わらずその成果がずっと人生に付いて回る。
 恋も同じで(?)消えるから愛おしい。いけばなの大きな魅力は、恋よりも早く消えることであろう。

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