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いけばな随想
diary

空間の取り込み 241201

2024/12/1

 高松城跡の披雲閣で開催された、香川県支部・草月いけばな展に行ってきた。国の重要文化財の建物は、建築部材も各座敷の佇まいも、窓ガラスも庭の景色も趣があって素晴らしい。いけばな展のタイトルは~空間と語らう~で、門前や玄関前の屋外作品や建物内のあまたの作品は、それぞれに語らった結果が表現されていたと思う。
 和紙に描いた抽象的な墨の筆跡が、障子を通して入ってくる午後の陽光に浮かび上がっている作品は、もはやいけばなではなく書画の作品と言ってもいいくらいで、それが8畳+8畳+6畳が連なった通しの座敷に立体的に構成されているから「やはり草月であるか」と唸らざるをえないというものだった。
 美術館やデパートの催事場では、どうしても1つ1つの完成された作品が空間から切り取られて展示されることになる。しかし、作品展示を目論んで設計されていない空間に展示するとき、作品と空間を素敵に関係づけようという意図が働くため、作品は空間から切り離されることなく一体的に新たな作品として再生される。制作した作品が、展示する空間の力で格段に魅力を増す。

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