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いけばな随想
diary

自然に出来上がる作品 241106

2024/11/8

 花で手遊びをしていて、気付けばいけばなが出来上がっていた。こういう無意識につくられた作品は、作為が働いていない点で自然的だと言ってしまいたくなる。昨日は空間的な自然を思い浮かべ、今日は精神的な自然を思い浮かべている。
 しかし、私自身が作為的でなかったとしても、私のいけばなの癖は体に沁み込んでいるのではないか。無意識だったかもしれないけれど、体が覚えていた記憶が、いつでも私のパターンを描いてしまうように方向付けされている可能性は大きい。
 特段に意識していなくても、人は動作ひとつにしても持っている癖が勝手に振る舞う。むしろ意識していないときほど、癖はことさら確実に立ち現れる。私は自分の癖について、あまりたくさんの知識を持っていない。だから、自然に振る舞っているつもりであっても、深層に隠れた自分が表層の私を易々と操っているのだ。
 人は、法律とか慣習などの社会的拘束力に縛られているというよりも、自分の個性により強く縛られていて、「自然に湧いてきたインスピレーションによって作品ができちゃった」などということはないのである。

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