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いけばな随想
diary

花の盛り 241123

2024/11/24

 花が咲いたと人が言う。つぼみの段階では、咲いたとは言わない。よく考える必要はないけれど、気になり始めると少し考えてしまう。どの段階で咲いたと言うのか。私は満開になるより前、つぼみがはじけて花びらの1枚1枚が見え始めた時が好きだ。
 人生に花を咲かせると人が言う。これはストレートに成功を意味している言葉なので、おこがましくて人前では使いにくい。目標を抱いて掲げることはいいことなので、それは大いにやってもらいたい。そして、大輪の花を咲かせたい場合は、より控えめな態度で品性を保ちたい。
 ただ、咲いてしまった花はいずれしぼむ。早い段階で花の盛りを迎えてしまった人生は、枯れるばかりで面白くない。だから、いけばなでは、面白いのは花ばかりではないよと諭してくれる。枯れた枝や虫食いの葉にも趣があると言う。言うだけでなく、大いに使う。何でもないような枯枝を「枯れもの」と呼んで大事に取って置き、ここぞという時に引っ張り出していける。
 枯枝や流木などは、力強さも寂びた感じも表現できる。老練な俳優にも似て、作品に深みや輝きを与えてくれる。

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